今年もいよいよ数日もなく暮れてまいります。新年を迎えるにあたって、初詣の算段はもうなさっておいででしょうか。観光も兼ねて大きなお社に赴かれるのも賑やかでよろしいのですが、今年はちょっと趣向を変えてみたい、とお思いの方は、地元の土地神様にご挨拶なさってみるのはいかがでしょうか。
古い信仰の形ですが、人の住まう土地には産土神(うぶすながみ)、と言って、そこに暮らす人すべてを生み出した母なる大地そのものの神様がいて、人の生から死までをやさしく見守ってくれている、というものの考え方があります。昔から人が暮らしているところを調べてみると、いわゆる土地神様、産土神にあたる護りの神様が祭ってある神社があるところが多いのです。
佐原で例を挙げると、当ブログでもたびたびご紹介しています厄除大師の観福寺さんの境内裏手のお山のてっぺんに座します、高天神社(たかあまじんじゃ)などがその一つ。こちらは牧野地区の皆様に昔より親しまれてきた産土神のお社で、天照大神と高皇産霊神を祭神とし、知恵の神と技能の神を祀りますことで士農工商すべてにおいて進歩繁栄を願い、御子の多かった神様にあやかって子孫繁栄、家内安全を祈る、とこういう具合になっております。普段は小山の上のひとけのない鬱蒼とした木立の中に静かに佇んでいるお社ですが、実際にお参りしてみると、人手が入ってよく手入れがされていることが伺えます。
こちらの高天神社へ行くには、観福寺さんの墓地の裏手からまっすぐ登る裏参道があるのですが、やはりお参りといったら表から参拝したいものですよね?でもその場合、小山をまるまる半周して林道をゆくことになるので、チャレンジされる方は森林浴ウォーキングも兼ねて参拝されるのはいかがでしょうか。
ともあれ、こういった形のちいさな神社から、祠や道祖神のようなものに至るまで、日本各地には実にさまざまなかたちで土地と人々を護る神様がいらっしゃいます。お正月を前に、ちょっと郷土史やご近所の言い伝えを調べてみて、ご自身の暮らしている場所の守り神さまに、静かに手をあわせてしめやかな初詣、というのもなかなか乙なものかもしれませんよ。